借金の返済が現実的に立ち行かなくなったとき、「自己破産」という選択肢が頭をよぎる方は少なくありません。
自己破産はメリットも大きい一方で、デメリットも多く、手続きの流れも複雑です。
そこで、この記事では、自己破産の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、実際の手続きの流れまでを解説します。
自己破産の概要
まずは、自己破産の概要について解説します。
自己破産とは
自己破産とは、借金の支払いが不能である債務者が裁判所に申立てを行い、借金の免除をしてもらう手続きです。
詳しくは以下で解説しますが、破産の申立てがなされると、まずは破産者の財産を換価し債権者に分配されます。
そして、分配した後に残った債務は、原則として免責(借金が免除される)されます。
つまり、債務者は、原則として自己の債務が免除されます。
ただし、自己破産ができるのは、借金の支払いが不能である方のみとされている(破産法15条1項)ため注意が必要です。
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自己破産で免除される債務と免除されない債務
自己破産をすると、すべての借金が免除されるわけではありません。
基本的に、借り入れやローンなどの多くの支払いは免除されます。
一方で、税金や社会保険料、養育費など、法律上「非免責債権」とされているものは、自己破産をしても支払義務が残るとされています(破産法253条1項ただし書き)。
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また、ギャンブルにより借金を増やした場合などといった免責不許可事由がある場合は、破産が認められない場合があるため(破産法253条1項ただし書き)注意が必要です。
自己破産のメリット
次に、自己破産のメリットを解説します。
借金が免除される
自己破産の最大のメリットは、借金の返済義務がなくなる点にあります。
上記のように、自己破産をすると、原則として非免責債権などの免除がされない債権を除き借金が免除されます。
これにより、毎月の返済に追われる生活から抜け出せることができます。
取り立てや差押えが止まる
自己破産のメリットに二つ目は、取り立てや差押えが止まるという点です。
弁護士が債権者に対して受任通知が送付した場合、債権者からの取り立てが停止するとされています(貸金業法21条第1項第9号)。
また、破産手続き開始決定がされると、原則として債権者からの差押えの効力が停止するとされています(破産法42条1項)。
このように、自己破産を行うことにより、取り立てや差押えの危険から解放されるため、債務者にとっては精神丁な負担が軽減するといえます。
財産が一定程度守られる
自己破産のメリットの3つ目は財産が一定程度守られる点です。
確かに、自己破産をすると、自宅や車などの財産を手放す必要があります。
しかし、すべての財産を手放すことになると、生活ができなくなります。
そこで、99万円以下の現金や生活に必要な家具などといった、生活に必要な財産については手元に残すことができます。
自己破産のデメリット
自己破産には上記のようにメリットがある一方で、デメリットもあります。
以下で、自己破産のデメリットについて解説します。
持ち家や車などの財産を手放す必要がある
自己破産の最も大きなデメリットは持ち家や車などの財産を手放す必要がある点です。
自己破産の手続きでは、債務者の財産を換価し、債権者に支払われることになっています。
したがって、持ち家、車やその他の高額な動産といった生活に必要な範囲を超える財産については、原則として処分の対象となります。
そのため、資産状況によっては、自己破産以外の債務整理の手続きを検討した方がよい場合もあります。
信用情報への影響(ブラックリスト入り)
自己破産のデメリットの二つ目は、信用情報への影響がある点です。
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録され、ブラックリストに入ります。
ブラックリストに入ると、一定期間はクレジットカードの利用やローンを組むことが難しくなります。
ただし、信用情報は数年が経過すれば情報は削除されるため、この影響は一生続くわけではありません。
資格制限の対象となる
自己破産のデメリットの3つ目は、資格制限の対象となる点です。
自己破産を行うと、復権するまで一定の職業に就くことができなくなります。
具体的には、弁護士や公認会計士などの士業や警備員として業務をすることができなくなります。
保証人に借金の支払い義務が生じる
自己破産のデメリットの4つ目は保証人に借金の支払い義務が生じる点です。
自己破産をすると、債務者の債務は免除される一方で、保証人に借金の支払い義務が生じます。
任意整理と異なり、自己破産は整理する債務を選ぶことができないため、保証人がついている債務を自己破産の対象から除外することはできません。
したがって、自己破産をする際は保証人への影響が及ぶことを念頭に置くようにしましょう。
自己破産の流れ
自己破産の流れは以下の通りです。
受任通知を送付
まずは、自己破産を弁護士に依頼し、弁護士から受任通知を送付します。
この受任通知は債権者に対し、通知者である弁護士が自己破産について受任したことを知らせる文書です。
これにより、債権者との連絡窓口が弁護士となり、本人への督促が停止するため、精神的なストレスから解放されます。
申立て書類の作成
次に、裁判所に対し自己破産を申し立てる際に必要な書類を作成します。
申立て書類を提出するにあたっては、以下の書類が必要となります。
- 債権者一覧表
- 家計簿
- 資産目録
- 陳述書
- 住民票
- 預金通帳
- 収入が分かる書類
このように、申立て書類を作成する際には様々な書類が必要となります。
ただし、この中には弁護士が作成する書類もあるため、必ずしもすべてを自分で作成する必要はありません。
破産申立て
申立書の準備が整ったら裁判所に対し破産申立てを行います。
破産申立て後、裁判官と面談を行い、「管財事件」か「同時廃止事件」かに振り分けられます。
管財事件とは、破産管財人が債務者や借金について調査をするものであり、同時廃止事件に比べ手続きが複雑です。
一方で、同時廃止事件は、破産手続きが開始するのと同時に手続きが終了する事件であり、管財事件に比べスムーズに手続きが終了します。
ここで、管財事件になるか同時廃止事件になるかでその後の手続きが大きく変わります。
そして、この裁判官との面談終了後に、破産手続き開始決定が出され、同時廃止事件の場合には破産手続き廃止決定が合わせて出されます。
免責審尋(同時廃止の場合)
同時廃止事件の場合、免責審尋を行います。
免責審尋とは、弁護士と債務者本人が裁判所へ行き、裁判官から簡単な質問を受けます。
この免責審尋によって、免責をするか否かについて判断するとされています。
そして、同時廃止事件のは、免責審尋が終了後、免責不許可事由がないと裁判所に判断された場合は、免責許可決定が出され手続きが終了します。
管財人面接(管財事件の場合)
管財事件の場合、破産手続き開始決定後に管財人面接が行われます。
この管財人面接では、借金の内容や理由などを聞かれるため、債務者本人も出席しなければなりません。
管財人は、この管財人面接などを基に、債務者の財産の内容について調査し、免責不許可事由がないかについて判断することとなります。
債権者集会
管財事件の場合、管財人面接の次に債権者集会を行うという流れになります。
債権者集会とは、管財人が、債権者に対し、免責について説明を行う手続きです。
債権者集会についても、債務者が出席することとなっています。
この、債権者集会が終了後、免責不許可事由がないと判断されれば、免責となり、手続きが終了します。
まとめ
本記事では、自己破産のメリット及びデメリット、そして流れについて解説しました。
自己破産は、借金が免除されるというメリットがある一方で、大きなデメリットもあります。
したがって、自己破産を選択する場合は慎重に選択する必要があり、場合によっては他の債務整理の手続きを行った方が良い場合もあります。
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