はじめに
「町内会に入らないと、ゴミを出せないって本当?」
こうした悩みを持つ方は少なくありません。
前提として、町内会に加入するかしないかについては個人の自由であり、強制的に加入させられるものではありません。(詳しくは以下の記事を参照)
しかし、実際の運用として、ゴミ集積所の管理方法によっては、利用に制限がかかることがあります。
そこで、本記事では、町内会に入らないとゴミを出せないのかを、法律と実際の運用の両面から解説します。
ゴミ処理の法律上のルール
ゴミの処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」により、各市区町村が責任を持って行うと定められています。
市町村は、一般廃棄物処理計画に従つて、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分(省略)しなければならない。
(廃棄物処理法第6条の2第1項)
引用元:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
つまり、ゴミの収集・処分は行政の責任であるため、行政がこれを怠ると、この規定に反することとなります。
したがって、住民は町内会に入らない場合であっても、ゴミの収集サービス自体は受けられるのが原則です。
「町内会に入らないとゴミが出せない」は適法か
では、「町内会に入らないとゴミが出せない」と扱うことは適法なのでしょうか。
「町内会に入らないとゴミが出せない」が適法となり得る場合
場合によっては、「町内会に入らないとゴミが出せない」とすることが適法となり得る場合があります。
その場合とは、ゴミ集積所の維持管理を町内会が行っている場合や、集積場を町内会が所有している場合などです。
多くの地域では、ゴミ集積所(ゴミステーション)の設置・維持管理を町内会が担っており、集積所の設置場所の選定やカラス除けネット・掃除・清掃当番の管理を行っています。
引用元:名古屋市「町内会・自治会について」
そのため、町内会に加入せず、これらの管理を行わず、費用も支払っていないのにゴミ捨てに利用するのは不公平であることから、町内会の入らない人の利用を制限する合理性があるといえます。
また、集積場を町内会が所有している場合は、その集積場を誰に使わせて誰に使わせないかについて、町内会が決めることができるため、町内会に入らない人の利用を制限する合理性があります。
以上の理由から、町内会が集積場を所持・管理している場合は、町内会に入らないとゴミが出せないという運用が取られている場所が多いです。
「町内会に入らないとゴミが出せない」が違法となり得る場合
一方で、集積場が公道にあり、自治体が管理している場合には、町内会に入らないとゴミが出せないとすることは違法となる可能性が高いです。
先ほど解説したように、自治体はゴミの収集及び運搬の責任を負います。
集積場を自治体が管理している場合、町内会はその集積場の運営に関与していないことから、町内会に入らない者であってもゴミを処理する責任を負います。
したがって、自治体が集積場を管理している場合は、町内会に入らないことを理由にゴミ出しができないこととするのは違法となる可能性が高いといえます。
町内会とのゴミ出しトラブルを避けるための対応方法
町内会に入らない場合でも、地域のゴミ集積所を利用したいときは、以下のような対応を心掛けましょう。
ゴミ集積場の管理主体を確認する
まずは、「この集積所は誰が管理しているのか」を確認しましょう。
先ほど解説したように、自治体が管理している場合は、ゴミを出すことができる可能性が高いです。
管理者は、ゴミ置き場に設置されているプレートや市区町村のHPで確認できる場合が多いです。
町内会と交渉をする
仮に近くの集積場の管理者が町内会であった場合は、町内会と集積場を使わせてもらえないか交渉をしましょう。
交渉することにより、町内会に入らない場合でも、集積場の管理費用の一部を負担するなどといった折衷案により解決することができる場合があります。
交渉の際は、「会員にはならないが管理には協力する」という姿勢を示すのが重要です。
行政窓口へ相談する
お住いの自治体のごみ収集を担当している窓口に相談することも有効です。
相談することにより、町内会に入らなくてもゴミを出すことができる場所を教えてくれたり、町内会との連携を図ってくれたりする可能性があります。
まとめ
本記事では、「町内会に入らないとゴミが出せない?法律と実際の運用を徹底解説」と題して解説しました。
- 町内会に入らなくても、原則としてゴミの収集は行政サービスとして受けられる
- ただし、町内会が独自に管理する集積所は、利用制限が設けられる場合もある
- 利用トラブルは、行政窓口へ相談
ゴミ出しができないと、生活に大きな支障をきたします。
町内会に入らないとゴミが出せないと言われた際には、冷静に対応しましょう。
本サイトでは、町内会の加入義務についも解説していますので、こちらも是非ご覧ください。



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