「退職代行は違法なのでは?」「利用するとトラブルになるのでは?」と不安に感じている方は少なくありません。
実際に、「退職代行は違法」といった情報が見られますが、結論から言うと、退職代行は一律に違法とされているわけではありません。
そこで、本記事では、違法になるケース・ならないケースや利用時に注意すべきポイントについて解説します。
退職代行サービスとは何か
退職代行サービスとは、労働者本人に代わって、勤務先に退職の意思を伝えることを目的とするサービスを指します。
具体的には、退職の意思表示を会社に伝えたり、場合によっては退職届を会社に提出する場合もあります。
退職代行サービスは、退職届を出しても拒否される場合や、退職を上司に言い出しにくい場合に使用することが考えられます。
現に、2023年6月から1年間に転職した人に向けた調査によると、16.6%の人が退職代行を利用したと回答しており、一定程度の人が退職代行を利用しているといえます。
参照 マイナビ 退職代行サービスに関する調査レポート(2024年)
退職代行が違法となり得るケース
結論として、すべての退職代行が違法となるわけではありません。
退職代行そのものが違法となるというものではなく、代行者がどのような行為をするかによって違法かどうかが決まります。
そこで、以下では、退職代行が違法となるケースについて解説します。
会社と交渉を行う場合
退職代行が違法となるケースの一つ目は、代行者が会社と交渉を行う場合です。
退職代行が違法とされる場面で、最も問題となるのが弁護士法です。
弁護士法72条では、弁護士でない者が、報酬を得る目的で法律事務を行うことを原則として禁止しています。
弁護士法72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
つまり、弁護士ではない代行者が法律事務を行うと、弁護士法違反にあたり、違法となります。
このように、弁護士以外が法律事務等を行うことを「非弁」といいます。
そして、会社と交渉することは法律事務に該当するとされています。
したがって、弁護士でない者が会社と交渉をすると、非弁にあたり違法となります。
一方で、代行者が弁護士であれば、会社と交渉をしても違法とはなりません。
会社との紛争処理を行う場合
退職代行が違法となるケースの二つ目は、代行者が会社との紛争処理をを行う場合です。
会社が退職を拒否している場合や、有給消化などといった他の労働問題も抱えている場合は、会社との調整が必要になります。
このような状況で弁護士ではない者が介入すると、紛争処理を行っていると評価される可能性があり、弁護士法に反するおそれがあります。
弁護士の名前を借りて退職代行を行う場合
退職代行が違法となるケースの三つ目は、代行者が弁護士の名前を借りて退職代行を行っている場合です。
以下で解説するように、原則として弁護士が退職代行を行えば、非弁に当たらず適法となる可能性が高いです。
しかし、弁護士ではない業者が、弁護士の名前を借りて「弁護士がいるから大丈夫」と思わせて、実際には弁護士ではない者が退職代行を行う場合もあります。
このように、弁護士ではない非弁業者が弁護士の名前を借りて取引を行うことを「非弁提携」といいます。
もちろん、この非弁提携は違法です。
したがって、ホームページなどに弁護士の名前があったとしても、依頼前に弁護士と面談をしたうえで、依頼するようにしましょう。
退職代行が違法にならないケース
一方で、以下のような場合は、退職代行が違法とならない可能性があります。
退職の意思表示を伝えるだけの場合
まず、退職の意思表示を伝えるだけの場合は違法とならない可能性があります。
民法上、無期雇用の労働者は、原則として2週間前に退職の意思表示をすれば退職できるとされています(民法627条)。
この退職の意思表示をそのまま伝える行為にとどまる場合は、代行者が弁護士でなくても直ちに違法とはならないとされています。
しかし、会社側が退職を拒否しているような場合は、交渉が必要になる場合が多くなります。
交渉が必要な場合、弁護士以外の者が代行として交渉することは違法となります。
弁護士が代行をする場合
また、弁護士を代行者として退職代行を行う場合は、適法である可能性が高いです。
上記のように弁護士法72条は、弁護士以外の者が交渉といった法律事務を行うことは違法としています。
逆を言うと、弁護士であれば交渉を伴う退職代行を行うことができます。
退職代行を使って退職する際は、会社とトラブルが発生することがあるため、交渉が必要となる場面も多くあります。
したがって、退職代行は会社と交渉ができる弁護士に依頼することをおすすめします。
一方で、上記のように非弁提携が行われている可能性もあるため、注意しましょう。
労働組合が代行する場合
労働組合が代行をする場合も適法な退職代行となる可能性が高いです。
憲法上、労働組合は団体交渉権が保障されています(憲法28条)。
したがって、この団体交渉権の一環として、本人に代わって会社との間で交渉することが可能です。
したがって、労働組合が代行をする場合は、違法とはならない可能性が高いといえます。
まとめ
本記事では、「退職代行は違法なのか?適法なケースと注意点を法律に基づき解説」と題して解説しました。
- 一般企業の退職代行は非弁が問題となる
- 一般企業の退職代行は退職の意思の通知まで
- 弁護士や労働組合が代行者であれば交渉まで可能
一般企業が運営する退職代行は、交渉を行うと違法となるため、代行できる範囲が狭いといえます。
したがって、交渉まで可能な弁護士や労働組合に依頼することをおすすめします。
また、本サイトでは、退職拒否の違法性や拒否された場合の対処法についても解説していますので、以下のリンクからご覧ください。



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