退職の引き止めは違法?退職届を出したのに辞められない時の対処法を解説

労働問題

退職を申し出たところ、会社から強く引き止められ、「辞めさせない」「損害賠償を請求する」などと言われていませんか。

結論から言うと、退職の引き止めは内容次第で違法になります

特に、脅しや圧力をかけたり退職届を受け取らなかったりするといった対応は、法律上問題となる可能性があります。

そこで、この記事では、どのような引き止めが違法なのかや今すぐ取るべき対処法を法律に基づいて解説します。

▶ 会社と直接やり取りせずに辞めたい方へ
→ 退職代行は違法?適法なケースと注意点を法律に基づき解説

退職の引き止めはどこから「違法」になる?

まず、原則として労働者の退職は自由です。

しかし、退職の引き止め自体が、すべて違法になるわけではありません。

重要なのは 「どのような方法で引き止めているか」 です。

退職を申し出た際に、「少し考え直してほしい」と言われたというように、任意の説得を行うというものであれば問題ない場合が多いです。

しかし、次のような対応がある場合、違法と評価される可能性があります。

  • 退職届を受け取らず、退職を認めない
  • 辞めるなら損害賠償すると脅す
  • 長時間の説得や威圧的な態度を繰り返す
  • 有給休暇の取得を認めない
  • 離職票や必要書類を出さないと言う

▶退職届が受理されない場合の対応はこちら

上記のような、任意の説得を超える引き止めは違法となる可能性が高いです。

このような引き止めが続く場合、本人が直接交渉する必要はありません。
▶ 退職代行が使えるケースはこちら

退職が認められる法的根拠

退職が認められる根拠は民法にあります。

民法上、退職の根拠は、雇用契約の期間が有期雇用契約か無期雇用契約(正社員など)かによって異なるとされています

以下では、退職が認められるか根拠について有期雇用と無期雇用に分けて解説します。

無期雇用契約の場合

期間の定めがない労働契約の場合(正社員・パート・アルバイト等含む)には、以下の条文が適用されます。

民法627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

e-Gov 法令検索 (民法627条)

この条文を読むと、会社に対し退職の申し入れをしてから2週間で、雇用契約が終了するため、退職が認められます

つまり、民法によると、会社が「人手が足りない」「辞めさせない」などと、退職願を受理しなかったとしても退職は変わらず認められます。

一方で、就業規則に「1ヶ月前までに申し出る」と記載があった場合、民法と就業規則のどちらが優先されるのでしょうか。

結論、民法の規定よりも就業規則の規定が適用されるため、原則として1ヶ月前までに退職の意思表示を行う必要があります

しかし、期間が極端に長いなど、労働者の退職の自由が制限されていると評価できる場合には、民法の規定が適用される場合もあります。
参照 厚生労働省 退職の申出は2週間前までに

有期雇用契約の場合

一方で、契約期間が決まっている場合(例:3か月契約、1年契約など)の場合は、以下の条文が適用されます。

民法628条
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。

e-Gov 法令検索 (民法628条)

この条文を読むと、有期雇用契約の場合は、「やむを得ない事由」があるときでなければ、契約の解除ができなません。

つまり、「やむを得ない事由」がなければ退職ができないことになり、有期雇用契約の期間中の退職の自由は無期の場合と比べ制限されています

この「やむを得ない事由」の例は以下の通りです。

  • 体調悪化・メンタル不調
  • 家庭の事情(介護・育児等)
  • パワハラ・セクハラ
  • 過度な残業や違法な労働環境

したがって、これらの事情がある場合には、退職が可能です。

一方で、それ以外の場合は雇用期間が満了するのを待つ必要があります。

▶有期雇用と無期雇用の違いについて詳しく知りたい方
→有期雇用と無期雇用の違いとは?法律上の扱いをわかりやすく解説

よくある退職の引き止めトークとその真偽

会社の主張法律上の扱い
人手不足だから辞めさせない✕ 不可。人手確保は会社の責任
就業規則で「退職は1か月前」とある△ 場合によっては1か月前までに通知する必要がある
引き継ぎが終わるまで辞めるな✕ 強制不可。協力は望ましいが義務ではない
退職届を受理しないから無効✕ 無効にならない。受理は不要
損害賠償を請求する△実際に認められる例は限定的

退職願を出したが引き止められた場合の対処法

退職願を出したが引き止められた場合は以下のような対処をしましょう。

内容証明郵便により退職の意思表示をする

まずは退職の意思を記した書面を作成し、内容証明郵便として会社に送付しましょう。

内容証明郵便は、相手方が対面で受け取る必要があるため、退職願の受領を拒否されることは考えにくいです

また、内容証明郵便が相手方に配達された場合、配達証明を受け取ることができ、書面の内容も日本郵便が証明してくれるため、紛争になった際の証拠としても役立ちます

内容証明を作成する際は、書面で退職の意思表示と退職日を明示しましょう。

やり取りを証拠として残す

内容証明を送付しても引き止められた場合は、会社とのやりとりを記録として残しましょう。

具体的には以下のようなやり取りを残すことが望ましいです。

  • メールの送受信履歴
  • LINEやチャットもスクショ
  • 退職届のコピー、提出日、配達証明

違法な退職の引き止めがあることを弁護士へ相談

任意での退職の交渉が難しい場合は弁護士に相談しましょう。

弁護士名で内容証明を送付することにより、会社側の対応が変わることもあります。

また、内容証明では会社が対応してくれない場合は、訴訟に踏み込むことも可能です。

弁護士に相談する際は、未払い残業代などの他の労働問題がある場合は、その問題についてもまとめて相談するとよいでしょう。

弁護士に退職の意思を会社に伝えてもらう

最終的には、弁護士に退職の意思を会社に伝えてもらうとよいです。

これは、いわゆる「退職代行」にあたります。

この退職代行は、一般企業が行うものであれば会社と交渉をすることは違法となりますが、弁護士であれば交渉も可能です

したがって、退職の引き止めにあった場合は、最終的に弁護士に退職の意思を会社に伝えてもらうとよいでしょう。

退職代行を使う際の注意点はこちら

まとめ

本記事では、「退職の引き止めは違法?退職願を出したのに辞められない時の対処法を解説」と題して解説しました。

  • 退職は労働者の権利であり、原則として会社に拒否権はない
  • 期間の定めがない契約なら、申し入れから2週間(就業規則の条項に注意)で退職可能(民法627条)
  • 有期契約でも「やむを得ない事由」があれば途中退職できる(民法628条)

退職は労働者の権利です。

したがって、会社の対応に臆することなく、冷静かつ強気に退職交渉を進めましょう。

また、最終的には弁護士を使うことも有効ですので、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。

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