アルバイトをクビと言われた…これって違法?知っておくべき解雇のルールと対処法

労働問題

はじめに

アルバイト先から「明日から来なくていい」と言われ、急にクビにされ、「違法なのでは?」と思った経験や不安を抱えたことがあるかもしれません。

結論から言うと、アルバイトだからといって簡単にクビにできるわけではありません。

法律では、解雇には正当な理由が必要であり、不当な解雇は違法となることがあります。

そこで、本記事では、弁護士が、アルバイトでも知っておくべき解雇の要件と、理不尽にクビと言われた際の対処法を詳しく解説します。

本記事は2026年9月時点の法令・公表情報に基づいて作成しています。個別の事案については、必ず弁護士にご相談ください。

アルバイトの解雇が認められる根拠

アルバイトの雇用契約が終了する要件は、無期契約の場合と有期契約の場合とで異なります。

そこで、それぞれの解雇が認められる要件を以下で解説します。

無期雇用の場合

まずは無期契約の場合についてです。

無期契約の解雇に関する基本ルールは、労働契約法16条に定められています。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

参照 e-Gov 法令検索 労働契約法

この条文を読むと、普通解雇が認められるためには、①解雇について客観的に合理的な理由があり、②解雇が社会通念上相当である必要があります。

文面を見ると、簡単に解雇ができそうな気がしますが、判例はこの要件を厳しく解釈しています。

例を挙げると、高知放送事件(最判昭52年1月31日判決)は、ラジオ放送局のアナウンサーが短期間で2度寝坊し、計15分間ラジオの放送ができなかった事案です。

この事案で、寝過ごしは故意ではなく過失であるなどと言った理由を挙げ、解雇が社会通念上相当とはいえないと判断されました。

また、会社の業績悪化といった、会社都合による解雇(整理解雇)については、解雇の有効性をさらに厳しく判断しています。

アルバイトであっても、労働契約法16条が適用されるため、アルバイトの解雇であっても、これらの要件を満たさなければ違法な解雇となります。

参考 高知放送事件(最判昭52年1月31日判決)
参考 厚生労働省 確かめようアルバイトの労働条件

有期雇用の場合

有期雇用の場合の解雇については、無期雇用の場合とは異なり、労働契約法17条によって定められています。

使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

参照 e-Gov 法令検索 労働契約法

この条文を読むと、有期雇用のアルバイトを解雇するには、「やむを得ない事由」が存在する必要があります。

この「やむを得ない事由」は、上記の①解雇について客観的に合理的な理由があり、②解雇が社会通念上相当という要件よりも厳格に判断されます。

つまり、有期雇用の場合は無期雇用の場合よりも解雇のハードルが高くなっているといえ、より重大な事由がなければ解雇が違法となります。

本サイトでは、有期雇用と無期雇用の違いについても解説していますので、以下のリンクからご覧ください。

違法となる可能性が高い解雇の例

上記のような条文の解釈を踏まえると、次のようなケースは違法な解雇となる可能性が高いです。

  • 店長の好みや人間関係などの感情的理由
  • シフトに入れない週が続いたことを理由に「今後は不要」と言われた
  • 数回の遅刻や無断欠勤
  • 30日前までの解雇予告もしくは予告手当の支払いがない解雇

このように、重大な事由がないのにも関わらず解雇することは、労働契約法16条又は17条に違反し違法となります。

また、アルバイトであっても、会社は解雇する場合、30日前までに予告が必要です(労基法20条)。

予告がなく、突然解雇された場合でも、解雇予告手当の請求が可能です。

また、会社が解雇予告義務・予告手当支払義務に違反した場合、会社側に刑事罰が科されるおそれがあります。

労働基準法第119条1号
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、(中略)の規定に違反した者

参照 e-Gov 法令検索 労働基準法

解雇予告義務を定めた労働基準法20条違反は、この罰則の対象に含まれています。

参考 厚生労働省 確かめようアルバイトの労働条件

突然クビと言われたときの対処法

違法な解雇を受けた際には、以下のような対応をすることが望ましいです。

クビの理由を書面で求める

まず、解雇理由を文章で示すよう会社に対して求めましょう。

会社は労働者から請求があった場合、解雇理由証明書の交付義務があります(労基法22条1項)。

書面の交付を受け、解雇の理由を詳しく知ることで、その後の対応を検討する上での材料とすることができます。

会社と交渉する

次に、会社と交渉することが考えられます。

会社と交渉する際は、具体的な事実を適示し、法的に解雇が無効であることを論理的に署名ないし口頭で主張する必要があります。

そのためには、解雇の有効性の判断基準を理解し、どのような事実をもって、解雇が無効であるかを主張するようにしましょう。

また、この交渉においては、解雇についてはあきらめ、解雇後の生活保障の観点から、解決金を請求するという方向性で交渉を進めることも実務では多くあります。

この手段は、解雇が無効となり会社に戻っても、紛争後のため気まずいという場合に、よく使われます。

会社との交渉を開始する際には、内容証明を用いることが多いです。

内容証明の書き方については、「【内容証明の書き方】文例付きで送り方と注意点を弁護士が解説」で解説していますので、併せてご覧ください。

本サイトを運営する弁護士は、解雇に関する交渉にも対応しておりますので、お困りの方は、下記フォームからご相談ください。

労働審判や訴訟に移行する

交渉に会社が応じなかった場合、労働審判や訴訟といった法的な手続きに移行することが考えられます。

労働審判は、訴訟とは異なり、原則3回以内で終了する手続きで、迅速に権利関係を確定させることができます。

労働審判と訴訟の違いや、労働審判の流れについての詳細は、「労働審判とは?申立てから解決までの流れをわかりやすく解説」で解説していますので、併せてご覧ください。

この手続きで、裁判所の判断をもらい、権利関係を確定させることができます。

まとめ

本記事では、「アルバイトをクビと言われた…これって違法?知っておくべき解雇のルールと対処法」と題してアルバイトをクビと言われた際の法的な問題や対処法について解説しました。

解雇はかなりハードルが高いことから、アルバイトをクビと言われた際には、冷静に理由を分析し、最適な行動をとるように心がけましょう。

もっとも、解雇が違法かどうかの判断や会社との交渉には専門的な知識が必要となるため、一人で抱え込まず、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

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この記事の執筆者

本サイトを運営する弁護士(第一東京弁護士会所属)が執筆しています。

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