内容証明を無視されたら?次に取るべき対応と手段の選び方を弁護士が解説

内容証明を無視されたら?次に取るべき対応と手段の選び方を弁護士が解説 内容証明

内容証明でお金の支払いを求めたのに、回答期限を過ぎても相手から何の反応もない。

「次は何をすればよいのか」と、対応に迷っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、何もせずに待ち続けていると、請求権が時効によって消滅するおそれがあります。

反対に、焦って相手の財産を勝手に持ち出したり、しつこく取り立てたりすると、こちらが責任を問われかねません。

そこで、この記事では、弁護士が、内容証明を無視されたときに次に取るべき対応や、手段の選び方について解説します。

本記事は2026年10月時点の法令・公表情報に基づいて作成しています。 個別の事案については、必ず弁護士にご相談ください。

内容証明の基本的な書き方を知りたい方は「【内容証明の書き方】文例付きで送り方と注意点を弁護士が解説」をご覧ください。

内容証明を無視されたら最初に確認すること

まず前提として、内容証明には、相手に支払いや、請求通りの効果を強制する力はありません。

相手が無視を続ける限り、内容証明だけで請求通りの効果を実現することはできないため、次の手段を検討する必要があります。

次の手段を検討するにあたって、以下の3点を確認しておきましょう。

相手に届いているか

まず、内容証明が相手に届いているかを確認します。

相手に届いている場合、配達証明を付けていれば、配達された日付を記載したはがきが届いているはずです。

相手が不在のまま保管期間が過ぎた場合や、受取りを拒否した場合には、内容証明は差出人に戻ってきます。

この場合は、住所が正しいかを確認したうえで、同じ内容の文書を特定記録郵便などでも送っておく方法が考えられます。

時効までにどれだけ時間が残っているか

次に、請求権の時効までの残り期間を確認します。

内容証明で支払いを求める(催告する)と、その時から6か月間は時効が完成しません(民法150条1項)。

もっとも、その6か月の間に再び催告をしても、時効の完成猶予がさらに延びることはありません(同条2項)。

また、催告による時効の完成猶予は、あくまでも時効が6か月間は完成しないという効果にとどまり、一から時効が再スタートするというわけではないので、注意が必要です。

参照 e-Gov 法令検索 民法

つまり、時効が迫っている場合は、内容証明を送り直すのではなく、6か月以内に支払督促や訴訟などの手続きを取る必要があります。

請求の根拠となる証拠がそろっているか

さらに、裁判所の手続きを使う場合に備えて、契約書、請求書、メールやチャットのやり取りなど、請求の根拠を示す資料がそろっているかを確認します。

送った内容証明の謄本と配達証明のはがきも、請求をした事実を示す証拠として保管しておきます。

内容証明を無視された場合に取れる手段

では、内容証明を無視された後には、どのような手段があるのでしょうか。主な手段は次のとおりです。

手段主な特徴向いている場面
弁護士名義での請求裁判所を使わずに、改めて支払いを求める本人名義の請求に反応がない
支払督促書類審査のみで、裁判所に出向く必要がない相手が請求自体は争っていない
通常訴訟金額の上限がない相手が争っている、または高額

弁護士名義で改めて請求する

まず、本人名義の内容証明に反応がなかった場合でも、弁護士名義で改めて請求すると、支払いや話合いに応じることがあります。

これは、弁護士名義で請求を行うことにより、法的手続きが現実的なものであると相手方が危機感を持つことが理由であると考えられます。

もっとも、前述のとおり、再度の請求では時効の完成猶予は延びないため、時効が迫っている場合は、裁判上の法的手続きを優先して検討する必要があります。

支払督促

次に、支払督促は、金銭などの支払いを求める請求について、裁判所書記官が書類審査だけで支払いを命じる手続きです。

民事訴訟法382条
金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。

参照 e-Gov 法令検索 民事訴訟法

相手が支払督促を受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てなければ、申立てにより仮執行宣言が付され、強制執行の申立てができるようになります。

一方で、相手が異議を申し立てると、通常の訴訟に移行します。

参考 裁判所 支払督促

通常訴訟

相手が請求の内容を争っている場合には、通常の訴訟を起こすことになります。

時間と費用はかかりますが、判決を得ることで、相手が任意に支払わない場合でも強制執行によって回収を図ることができます。

なお、請求額が60万円以下の場合は、少額訴訟を利用することができます(民事訴訟法368条1項)。

少額訴訟は、特別の事情がある場合を除き、最初の期日で審理を終えることとされています(同法370条1項)。

そのため、最初の期日までに、すべての主張と、証拠をそろえる必要があります。

なお、少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にする必要があるため(同法368条2項)、注意が必要です。

参考 裁判所 少額訴訟

なお、未払い賃金や解雇など労働に関するトラブルであれば、労働審判という訴訟とは異なる手続きもあります。

詳しくは「労働審判とは?申立てから解決までの流れをわかりやすく解説」をご覧ください。

本サイトを運営する弁護士は、弁護士名義での内容証明の作成や、支払督促・訴訟などの手続きの代理にも対応しています。

内容証明を無視されて次の対応に迷っている方は、下記のフォームからお問い合わせください。

内容証明を無視された後の手段を選ぶ際のポイント

ここまで、内容証明を無視された際に取れる手段を紹介しました。

では、実際にどの手段を選べばよいのでしょうか。

相手が請求の内容を争っているか

まず、相手が請求の内容そのものを争っているかどうかです。

請求自体は認めているものの実行に移さないだけなのであれば、支払督促が迅速に解決しやすい選択肢となります。

反対に、相手が異議を申し立てることが見込まれる場合には、結局は訴訟に移行するため、最初から訴訟を起こす方が早い場合もあります。

請求額はいくらか

次に、金銭請求の場合、請求額が60万円以下であれば、少額訴訟も選択肢に入ります。

未払い報酬の回収を例にした各手続きの使い分けは、「【個人事業主の報酬未払い】回収の流れとフリーランス法の活用を弁護士が解説」でも解説しています。

相手の住所が分かっているか

また、前述の民事訴訟法382条ただし書きのとおり、支払督促は、相手に書類を実際に届けられることが前提となります。

相手が転居していて内容証明が戻ってきた場合など、相手の所在が分からないときは、支払督促ではなく訴訟を検討することになります。

相手に支払える財産があるか

最後に、相手に財産があるかどうかです。

強制執行は、確定判決や仮執行宣言を付した支払督促など、法律で定められた「債務名義」に基づいて行います(民事執行法22条)。

参照 e-Gov 法令検索 民事執行法

しかし、判決などを得ても、相手に預金や不動産などの財産がなければ、債権を回収できません。

したがって、回収が不能であることが明らかである場合には、訴訟費用などが無駄となってしまうため、回収を断念せざるを得ない場合もあります。

内容証明を無視されてもやってはいけないこと

一方で、相手に無視され続けると、腹立たしさから強硬的な手段に出たくなることもあります。

しかし、次のような行動は避けなければなりません。

相手の財産を勝手に持ち出す

まず、裁判所の手続きを経ずに、相手の物を勝手に持ち出したり、代金の代わりに処分したりすることは、自力救済として許されません。

自力救済の考え方については、「【私有地の無断駐車】正しい対処法と絶対NGな行動を弁護士が解説」でも解説しています。

脅すような取立てや、周囲に言いふらすこと

また、相手を脅すような言動で取り立てたり、相手の勤務先やSNSで未払いの事実を言いふらしたりすると、かえってこちらが民事・刑事において法的責任を問われるおそれがあります。

したがって、無視されたとしても、冷静になり、法的な手続きを粛々と進めていく必要があります。

対応を先延ばしにすること

そして、何もせずに対応を先延ばしにすることも避ける必要があります。

前述のとおり、内容証明による時効の完成猶予は6か月間に限られ、時間が経過すると時効の完成により、請求できなくなる可能性があります。

また、時間が経つほど相手の財産状況が悪化したり、所在が分からなくなったりして、回収が難しくなる場合もあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 内容証明を無視されたら、すぐに裁判を起こせますか?
起こせます。原則として、内容証明を送ることは、支払督促や訴訟を起こすための条件ではありません。ただし、手続きを選ぶ前に、証拠がそろっているか、相手に財産があるかを確認しておくことをおすすめします。

Q2. 内容証明は何回まで送るべきですか?
回数に決まりはありません。もっとも、再度の催告では時効の完成猶予は延びないため、同じ内容の内容証明を何度も送るよりも、反応がなければ早めに次の手続きに進む方が効果的な場合が多いです。

Q3. 相手から見ると、内容証明を無視することにはどのようなリスクがありますか?
受け取った側の視点での対応や、無視した場合のリスクについては、「内容証明が届いたらどうする?無視するリスクと正しい対応を弁護士が解説」で解説しています。

まとめ

本記事では、内容証明を無視されたときに次に取るべき対応と、手段の選び方について解説しました。

  • 内容証明には支払いを強制する力はなく、無視されたら次の手段を検討する必要がある
  • 時効の完成猶予は6か月だけで、再度の催告では延びない
  • 主な手段は、弁護士名義での請求、支払督促、少額訴訟、通常訴訟等
  • 自力救済や脅すような取立ては避ける

内容証明を無視された後は、選択する手段によって、回収までの期間や費用、最終的に回収できるかどうかが大きく変わる場合があります。

当サイトを運営する弁護士は、内容証明を無視された後の請求や、裁判手続きにも対応可能です。

相談を希望する方は以下のフォームからご連絡ください。

この記事の執筆者

本サイトを運営する弁護士(第一東京弁護士会所属)が執筆しています。

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