訴状が届いたらどうする?答弁書の出し方と放置するリスクを弁護士が解説

訴状が届いたらどうする?答弁書の出し方と放置するリスクを弁護士が解説 民事手続き

ある日突然、訴状が届いたら、頭が真っ白になってしまう方も少なくありません。

しかし、訴状が届いたまま何もしないでいると、相手の言い分どおりの判決が出て、預金や給料を差し押さえられるおそれがあります。

そこで、この記事では、弁護士が、訴状が届いたときに最初にすべきことと、答弁書の出し方、放置した場合のリスクについて解説します。

本記事は2026年11月時点の法令・公表情報に基づいて作成しています。 個別の事案については、必ず弁護士にご相談ください。

訴状が届く前の段階で内容証明が届いている場合の対応はこちらをご覧ください。

訴状が届いたら最初に確認すること

まず、訴状が届いたら、次の3点を確認しましょう。

裁判所からの書類か

まず、裁判所からの訴状は、通常、「特別送達」という郵便の方法で送られてきます(郵便法49条)。

一方で、裁判所の名前を勝手に使った偽の請求書が送られてくる例も報告されています。

不審な点がある場合は、書面に書かれた電話番号ではなく、自分で調べた裁判所の電話番号に問い合わせて確認してください。

なお、裁判所の職員が電話でお金の支払いを指示することはないとされています。

参考 裁判所 裁判所の手続を悪用した架空請求等にご注意ください。

期日と答弁書の提出期限

次に、訴状と一緒に同封されている書面で、第1回の口頭弁論期日の日時と、答弁書の提出期限を確認します。

答弁書とは、訴状に書かれた相手(原告)の主張に対して、原告の主張に対する認否やこちら(被告)の主張を記載して裁判所に提出する書面です。

期限が近いことも多いため、訴状が届いたらすぐに内容を確認することが重要です。

身に覚えがなくても、放置してはいけない

また、訴状に書かれた請求に身に覚えがない場合でも、放置してはいけません。

下記のとおり、訴状を放置し、裁判期日に欠席した場合、相手が主張した事実を認めたものとみなされます(民事訴訟法159条1項・3項)。

そのため、本物の裁判所の手続きを使った架空の請求であっても、放置すれば判決が出て、敗訴するおそれがあります。

身に覚えのない請求であれば、なおさら答弁書でその旨を主張する必要があります。

訴状を放置するとどうなるか

では、訴状が届いたのに何もしなかった場合、どうなるのでしょうか。

相手の言い分を認めたものとみなされる

まず、答弁書を出さず、口頭弁論の期日にも出頭しなければ、相手が主張した事実を認めたものとみなされます(民事訴訟法159条1項・3項)。

参照 e-Gov 法令検索 民事訴訟法

その結果、相手の言い分どおりの判決が言い渡される可能性が高くなります。

判決が確定すると、財産を差し押さえられる

判決に不服がある場合は、判決の送達を受けた日から2週間以内に控訴することができますが(民事訴訟法285条)、この期間を過ぎると判決は確定します。

確定判決により、強制執行が可能なため(民事執行法22条1号)、相手は、預金などの財産を差し押さえる手続きを取ることができるようになります。

参照 e-Gov 法令検索 民事執行法

受取りを拒否しても裁判は進む

また、訴状の受取りを拒否したり、不在を装って受け取らなかったりしても、裁判を止めることはできません。

正当な理由なく受取りを拒んだ場合には、その場に書類を差し置くことで送達ができるとされています(民事訴訟法106条3項)。

また、不在が続くなどして書類を渡すことができない場合でも、裁判所書記官が書類を書留郵便などで発送し、発送した時に送達があったものとみなす方法があります(同法107条1項・3項)。

つまり、受け取らなければ裁判が始まらない、ということはありません。

受け取らずにいると、自分の知らないうちに期日が過ぎ、敗訴判決が出てしまう可能性があります。

答弁書の書き方と出し方

ここからは、答弁書の書き方と出し方を解説します。

答弁書を出せば、第1回期日に欠席しても陳述したものとみなされる

まず知っておきたいのは、答弁書を提出しておけば、第1回の口頭弁論期日に出頭できなくても、答弁書に書いた内容を述べたものとして扱われる点です。

民事訴訟法158条
原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。

参照 e-Gov 法令検索 民事訴訟法

第1回期日は、既に日程が確定している段階で訴状が届くことが多く、指定された日の都合が合わない場合もあります。

そこで、欠席扱いされないためにも、第1回期日に出頭できない場合は、答弁書だけは必ず期限までに提出しておくことが重要です。

答弁書に書くべき内容

次に、答弁書には、主に次の内容を記載します。

  1. 請求の趣旨に対する答弁:相手の請求を認めるのか、争うのか(争う場合は「原告の請求を棄却する」との判決を求める)
  2. 請求の原因に対する認否:訴状に書かれた事実の一つひとつについて、「認める」「否認する」「不知」のいずれかを答える
  3. 被告の主張:こちらの言い分や、相手の請求が認められない理由

1については、裁判において求める判決を記載します。

2については、実務上、「認める」と記載してしまうと、争いのない事実として、裁判所が認定してしまう場合があるため、安易に「認める」と記載するべきではありません。

相手が主張した事実について「不知」と答えた場合は、その事実を争ったものと推定されるため(民事訴訟法159条2項)、真偽不明の事実は、「不知」とするようにしましょう。

3については、自身の主張を裏付ける証拠や法律を基に、自身の主張や相手方の主張が認められない理由を詳細に記載します。

なお、実務上、答弁書を作成する時間がない場合は、請求の趣旨に対する答弁のみを記載し、2と3は「追って主張する」と記載した答弁書を取り急ぎ提出する場合もあります。

裁判所の書式と提出方法

答弁書は、裁判所のウェブサイトに掲載されている書式を使って作成することもできます。

参考 裁判所 民事訴訟で使う書式

作成した答弁書は、訴状を送ってきた裁判所に提出します。

また、2026年5月21日以降は、民事裁判書類電子提出システム(mints)を利用して、準備書面や証拠をオンラインで提出することもできるようになっています。

参考 裁判所 民事訴訟

本サイトを運営する弁護士は、訴えられた方からのご相談や、訴訟の代理にも対応しています。

答弁書の提出期限が迫っている方は、早めに下記のフォームからお問い合わせください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 第1回の期日に都合がつきません。どうすればよいですか?
答弁書を期限までに提出しておけば、第1回期日に欠席しても、答弁書の内容を述べたものとして扱われます。第2回以降の期日は、当事者の都合も踏まえて調整されるのが通常ですので、まずは答弁書を提出することを最優先としましょう。

Q2. 訴えられたのは労働審判でした。対応は同じですか?
労働審判は、訴訟とは異なる手続きで、特別の事情がある場合を除き3回以内の期日で審理を終えることとされているため(労働審判法15条2項)、最初の期日までに主張と証拠をそろえる必要があります。手続きの流れは「労働審判とは?申立てから解決までの流れをわかりやすく解説」をご覧ください。

Q3. 訴状が届いたら、弁護士に依頼すべきですか?
答弁書を自分で作成して訴訟対応することも可能です。もっとも、答弁書での認否や主張は、その後の裁判の結果を大きく左右します。請求額が大きい場合や、相手の主張に争いがある場合は、答弁書の提出期限が来る前に弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

本記事では、訴状が届いたときの対応と、答弁書の出し方、放置した場合のリスクについて解説しました。

  • 訴状が届いたら、本物か、期日と答弁書の提出期限はいつかを確認する
  • 身に覚えのない請求でも、放置すれば判決が出て強制執行を受けるおそれがある
  • 受取りを拒否しても、送達があったものとみなされて裁判は進む
  • 答弁書を出せば、第1回期日を欠席しても答弁書の内容を述べたものとして扱われる

訴状が届いたときに最も避けるべきなのは、何もしないことです。

また、最初に提出する答弁書の内容が、その後の裁判の結果を左右することも少なくありません。

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答弁書の提出期限が過ぎる前に、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

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この記事の執筆者

本サイトを運営する弁護士(第一東京弁護士会所属)が執筆しています。

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