はじめに
「退職届の書き方が分からない」というような悩みを持つ方は多いと思います。
退職届は、シンプルな書類に見えて、会社によって提出ルールや形式が異なることが多く、誤った書き方で後々トラブルに発展するケースもあります。
そこで、この記事では、法的な視点に基づき、退職届の正しい書き方をわかりやすく解説します。
退職届・退職願・辞表の違い
まず、混同しやすい、退職届・退職願・辞表の違いを以下で解説します。
退職届
退職届とは、雇用契約を終了する旨の一方的な通知です。
法律的には、雇用契約を終了する意思表示であると解されます。
したがって、民法６２７条によると、期間の定めのない労働者であれば、退職届を会社が受領してから２週間で雇用契約が終了となります。
参考 e-Gov 法令検索 民法
そして、会社は退職届を拒否することはできません。
本サイトでは、退職を拒否された場合の対処法についても解説していますので、以下のリンクから、併せてご覧ください。
退職願
退職願とは、会社に退職をお願いする文書です。
したがって、退職届とは異なり、会社側が退職の承諾をすることにより退職をすることができるとされています。
つまり、退職願として会社に提出した場合、却下される可能性があるため、注意が必要です。
辞表
辞表とは、会社の役員などといった雇用関係ではない者が、会社等に提出する場合の文書をさします。
したがって、会社と雇用契約を締結している場合は、辞表という名前の文書は提出しないことが通常です。
退職届の正しい書き方（テンプレート付き）
以下では、退職届の正しい書き方について解説します。
タイトル
まずは、タイトルを書きます。
ここで、退職届なのか、退職願なのかを明確にしましょう。
上記のように、退職する際に提出する書面の種類は複数あり、場面や就業規則の定めによっても適切なタイトルが異なります。
退職届は、会社に到達することにより一定期間後の退職が認められるため、就業規則で特に指定がなく、退職を急ぐ場合は、退職届を提出すると良いでしょう。
一方で、会社の承諾を得て円満に退職したい場合は、退職願を先に提出するのも一つの手であるといえます。
私儀
続いて、「私儀」の文字を入れます。
私儀とは、「わたぐし事ではありますが」という意味をさす言葉です。
この文字は、横書きの場合は右端に、縦書きの場合は下の端に書くことが一般的です。
本文
続いて、本文を書きます。
本文には、必ず退職の日付を明記しましょう。
また、退職届の場合は、「退職いたします」と言い切り、退職願と混同させないように注意することが必要です。
一方で、退職願の場合は、言い切るのではなく、「退職いたしたくお願い申し上げます」というように、お願いであることが分かる文章にしましょう。
退職の理由については、「一身上の都合により」にとどめることが一般的です。
日付
当然ですが、日付も正確に記載しましょう。
日付の記載がないと、民法６２７条に規定されている２週間の起算点が不明確となってしまうおそれがあります。
自分及び相手の名前
こちらも当然ですが、自分と会社そして会社代表者の氏名を記載しましょう。
特に、会社代表者の氏名は忘れがちなので注意が必要です。
退職届の書き方テンプレート
以下で、退職届の書き方のテンプレートを添付しますので、参考にしてください。
退職届のテンプレート
まず、退職届のテンプレートは以下の通りです。
退職届
私儀
この度、一身上の都合により
2025年〇月〇日をもって退職いたします。
2025年〇月〇日
住所
氏名
株式会社○○
代表取締役 ○○殿
退職願のテンプレート
次に、退職願のテンプレートは以下の通りです。
退職願
私儀
この度、一身上の都合により
2025年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
2025年〇月〇日
住所
氏名
株式会社○○
代表取締役 ○○殿
退職届のNGな書き方
退職届を以下のように書くのは、不利益を被る可能性があるため避けるのが一般的です。
感情的な内容を書く
退職届は、感情的な書き方をすることは避けた方が良いです。
例をあげると、「上司のパワハラに耐えられません」という文言ですが、退職届には具体的な事実を書く必要はないため、不要とされています。
詳細な退職理由を書く
退職届に、詳細な理由を書く必要もありません。
退職届における退職の理由は、「一身上の都合」とされることが一般的であるため、詳細な理由まで書く必要はありません。
退職願と退職届を間違える
退職願と退職届を混同した状態で書面を作成することは避けましょう。
先ほど解説したように、退職届と退職願はその性質が異なります。
したがって、退職届と退職願を混同することにより、退職を拒否されたなどといった、思わぬ事態が発生してしまう可能性があります。
また、タイトルは正しくても、内容がタイトルに沿っていない（退職届なのにお願い申し上げますと書かれている等）ことも、会社との認識のずれを生じさせる可能性があります。
ですので、タイトルだけではなく、本文にも気を配るようにしましょう。
まとめ
ここまで、「退職届の正しい書き方は？例文テンプレ付きでわかりやすく解説」と題して解説しました。
- 書き方はシンプルで、理由は「一身上の都合」で十分
- 退職届の場合、会社に到達すれば退職の効力は発生する
- 退職届と退職願いは性質が異なるため混同に注意
この記事で解説した退職届の正しい書き方を用いて、スムーズに退職手続きが進むよう準備しましょう。
コメント